どのような手段で子供貯金をすれば良いのか、子供貯金は親の名義が良いのかそれとも子供名義が良いのかなど、子供貯金をする上でもいろいろな悩みがあると思います。
しかし、子供貯金をする上で一番大切なのは「目的」をしっかり持つということです。その上で、貯金の手段や名義などを考えていかなければいけません。順序を誤らないことが失敗しないコツですよ。
この記事では、目的別にどのような知識を持った上で、どのような手段で貯金すればよいのかを紹介しますので、参考にしてくださいね。
子供貯金の目的
子供貯金を考える上で最初にやらなければいけないことは、どんな目的で貯金をしようと思っているのか、その目的をはっきりさせることです。
皆さんはどのような目的で子供貯金をしていますか?
貯金の目的
- 将来子供に渡してあげるため
- 今後の教育費全般に使うため
- 大学の学費や仕送り用
- 子供の結婚資金(お祝い、挙式費用など)
- 子供の新築時の費用(お祝い、頭金など)
- 子供の出産時のお祝いなど
紹介した6つの目的は、子供貯金をしている多くの人が持つ目的です。これが全てではありませんので、他にも様々な目的で子供貯金をしている人も多くいると思います。
将来子供に渡してあげるため
特にタイミングは決めていないけれど、いつかはまとまったお金を子供に渡してあげたいと思う親は少なくありません。小さい頃から子供がもらったお祝いやお年玉をこつこつ貯めておき、貯まったお金を渡してあげるケースがそうですね。
渡したあとは子供が自由に使うお金なので、貯める時から子供の名前で貯金してあげておいた方が良いと思います。
ココがポイント
1年間(1月から12月)に110万円を超える財産(お金など)を貰った時は贈与税がかかりますので、110万円を超える金額の貯金を考えている場合、貯めたお金を1年間にまとめて(1度に)渡してしまうと、子供に贈与税がかかることになります。
一つの対策として、例えば12月と1月に分けてあげることも有効だと思います。そのためには、最初から分けてあげることを見据えて、口座自体を分けて作っておく方が良いということです。
【12月 A銀行 100万円】【1月 B銀行 50万円】
贈与税の控除は毎年110万円ありますので、その控除を最大限に活用するという方法ですね。
今後の教育費として使うため
教育費がいくら必要なのか把握できていない方は、まず、「子供の教育費っていくら?準備しておく金額を進路別に紹介!」を読んで、いくら準備しておく必要があるのか確認してくださいね。
高校や大学などの教育費として使うために貯金しておく場合、基本的に使うのは貯めた親になります。ですので、子供名義で貯金しておく必要はなく、親の名義で口座を作っておいて問題ありません。
ただし、普段使っている口座とは別の口座を用意しておく方が良いと思います。
ココがポイント
預金以外の方法とは、学資保険やジュニアnisaなど様々ですが、学資保険やジュニアnisaなどを利用して貯蓄する場合は、使うタイミングも考えておく必要があります。なぜなら、使うタイミングから逆算すると、貯蓄する方法も必然的に絞られてくるからです。
もう1点は、贈与税の問題です。「教育資金であれば、いくらでも贈与税はかからないの?」という疑問を抱く人もいると思います。
教育費に対する贈与税
扶養している子や孫にかかる教育費は、基本的には贈与税がかかりません。
基本的にはと言うのは、教育を受ける上で通常必要となる学資、教材費、文具費などであれば贈与税はかからないこととされています。この場合、義務教育であるか、義務教育外であるかは問いません。
では、どんな場合に問題があるのでしょうか?
通常必要な教育費以上にお金をあげる場合や、例えば祖父母が孫に教育費という名目で一括して多額のお金をあげる場合などがそうです。そうすると、税金の問題が壁となって、祖父母から孫の教育資金を一括で援助してあげるということができなくなってしまうのです。
この問題を解消するために、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度が設けられています。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
簡単に言うと、教育目的であれば子どもや孫へ1,500万円まで一括であげても税金はかからない制度です。ただし、使い道を証明する必要がありますし、使い切れなかったらその部分は贈与税の対象になってしまう点には注意しておきましょう。
また、入学金や入園料、保育費、給食費など、学校に直接支払われる場合は1,500万円まで税金がかかりませんが、通学のための定期代や留学の際の渡航費など、教育費の中でも学校に直接支払われない費用については1,500万円ではなく500万円までになる点も押さえておく必要があります。
ポイント
祖父母の年齢の問題や教育費が必要な年までの年数の問題がクリアできるのであれば、この制度を使わなくても毎年110万円の贈与税の控除をフルに活用する手段もあります。10年で1,100万円の贈与をすることができますからね。
大学の学費や仕送り用
教育費全般に使うためにお金をあげるケースと基本的には同じです。大学へは親が支払いするケースが一般的だと思いますので、あえて子供名義で貯金しておく必要はなさそうですね。
教育を受ける上で通常必要となる学資、教材費、文具費などであれば贈与税はかからないこととされています。
仕送りについても、扶養している子の通常の日常生活を営むのに必要な費用は贈与税がかかりません。たとえ、必要以上の仕送りをしたとしても、必要以上の額が年間110万円までなら贈与税はかかりませんので、金額にあまり神経質にならなくても良いと思いますよ。
子供の結婚資金
子供が結婚するタイミングでこれまで子供貯金として貯めてきたお金をあげるケースも少なくありません。
お祝いとしてだけではなく、新婚生活を始めるための資金としてや生活面での補てんのためにも使ってほしいという思いでこのタイミングを選ぶ人もいるのでしょうね。
この場合、お金を使うのは子供自身ですので、子供名義の口座を作り貯めておいてあげる方が良いと思います。
教育費の場合もそうでしたが、結婚資金についても贈与税の問題はないの?という点が気になると思います。
結婚資金に対する贈与税
子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の 通常の日常生活を営むのに必要な家具什器などを購入するためのお金をもらった場合、贈与税はかかりません
ただし、家具や家電など生活のために使われなかったら、贈与税の対象になってしまうので注意しましょう!
次に、親からに限らず祖父母から一括で大きなお金を援助したいというケースも考えられますので、どのような制度が設けられているのかを紹介したいと思います。
父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場 合の贈与税の非課税制度
制度の内容が少し複雑なので、概要的なポイントを紹介しますね。
・最大1,000万円まで贈与税が非課税
・20歳以上50歳未満の子や孫に対する贈与が対象
結婚資金
・結婚資金は300万円までの贈与税が非課税
・結婚資金は、結婚式や披露宴の会場費、衣装代、飲食代、引き出物代などが対象
・家賃、敷金などの新居費用も対象
出産資金
・結婚資金と子育て資金と併せて1,000万円まで
・人工授精、体外受精など不妊治療に係る費用や妊婦健診、出産費用、産後費用が対象
子育て資金
・結婚資金と出産資金と併せて1,000万円まで
・治療費、予防接種代、乳幼児健診の費用や入園料、保育料が対象
この制度を使わないと結婚資金や出産資金などをあげることができないのかというと、決してそうではありません。
組み合わせを考えて子供貯金を準備する
1つの制度を単体で見るのではなく、①から④の制度の中から、どの制度を使うのがベストなのか、どのような組み合わせがベストなのかを検討した上で、子供貯金の準備の仕方を考えていくことをおすすめします。
①結婚資金や扶養している子への教育費や生活費は非課税
②贈与税は1年間に110万円までは控除があるため非課税
③直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場 合の贈与税の非課税制度
④父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場 合の贈与税の非課税制度
検討していくためには、いつまでに、いくら貯金しておかなければいけないのか、いわゆるライフプランをしっかり立てておくことが必要不可欠です。
まずは、ライフプラン表を活用した教育費の計画の立て方と具体的な貯蓄法!を参考にして、簡易な表からでもライフプラン表を作成することから始めてみるようにしましょう!
まとめ
目的別にどのような知識を持っておいた方が良いのか、また、どのような手段で貯金すれば良いのかを紹介してきました。
手続的な面もそうですが、税金の問題や子供に渡すタイミングに合わせて貯金の方法を考えていくことが非常に重要になります。
その上で、毎月の給料からの先取り貯金(先取り貯金にも対応した家計簿を自作する際の「月別集計表」のつけ方を解説!)を実践していくと更に効果的だと思います。
子供貯金を考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。