教育費は、大きく分けると次の6つのポイントがあり、それぞれの基本的な点を押さえておく必要があります。
①教育費はいつ、いくら必要なのか
②各家庭の実態にどのように当てはめたら良いのか
③どのように計画を立てれば良いのか
④無償化によって何が変わったのか
⑤具体的な貯蓄法はあるのか
⑥どうしても教育費が不足してしまう時の対処法
教育費はいつ、いくら必要なのかという点については「子供の教育費っていくら?準備しておく金額を進路別に紹介!」で、教育費の計画の立て方と貯蓄法については「ライフプラン表を活用した教育費の計画の立て方と具体的な貯蓄法!」で紹介していますので、まずはこちらの記事を読んでいただいた上で、読み進めていただくことをおすすめします。
では早速、教育費の無償化制度がどのような制度で、どのような点が改正されているのかを解説していきます。その上で、教育費がどうしても足りない場合の対処法について紹介します。
幼児教育•保育の無償化
幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供たちの利用料が無償化になっており、令和元年(2019年)10月1日から始まっている制度です。0から2歳までの子供がいる世帯は、住民税非課税世帯のみが無償化の対象になります。
制度のポイント
- 幼稚園は、月額2.57万円が上限
- 無償化の期間は、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までの3年間
- 食材料費、行事費などは対象外(年収360万円未満相当世帯の子供たちと全ての世帯の第3子以降の子供たちについては、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除)
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高校無償化
2010年に開始した国の制度で、受給資格を持つ生徒には国から支援金が出るため、高校の学費が実質無償になります。世帯年収が910万円以下の家庭では、支援金制度を利用することで授業料が実質無償になります。
また、令和2年(2020年)4月に制度が改正され、受給資格を満たせば私立高校も無償で通うことができるようになりました。
これまでは、私高校の授業料は公立高校と比べると高いことから支援金だけでは授業料をカバーすることができず、差額を負担せざるを得なかったのです。
これが、改正によって、年収590万円未満の世帯に限って、私立高校の平均授業料の金額まで支援金額が引き上げられたので、結果的に実質無償化になったのです。
ココに注意
高等教育無償化
金銭的な理由で大学・短期大学・高等専門学校・専門学校に進学できない子供を支援する制度です。そのため、金銭に余裕がある家庭や進学の意欲が低い人に対して支援をするという制度ではない点には注意が必要です。
では、無償化制度の恩恵を受けることができる「3つの要件」を確認していきます。
3つの要件
1つめの要件は「所得の要件」です。
下表にある通り、世帯の状況によって、おおよそいくらの収入であれば、第Ⅰ区分から第Ⅲ区分のいずれに該当するのかが分かるようになっていますので、まずは区分の確認をしてみてください。
〇所得基準に相当する年収目安(出典:文部科学省)
ただ、少し複雑な表なので、世帯年収などを基に給付奨学金の対象になるかどうかを調べることができる「進学資金シミュレーター(日本学生支援機構提供)」の活用がおすすめです。
ココに注意
・成績や意欲に関する要件を満たすことと支援決定後も適確認定基準に該当することも要件!
2つめの要件は「保有資産の要件」です。
学生及びその生計維持者の保有する資産の合計額が一定額以上ある場合には、支援の対象外になってしまいます。具体的には、生計維持者が2人の場合は2000万円未満、生計維持者が1人の場合は1250万円未満であることが要件になります。
保有資産の要件の判定に「不動産」は含まれません。
3つめの要件は「学業成績と学習意欲の要件」です。
たとえば高校3年生の場合であれば、2年生までの評定平均値が3.5以上か3.5未満なのかによって学習意欲の判断の方法が異なります。
評定平均値が3.5以上・・・進路指導により学習意欲を判断
評定平均値が3.5未満・・・レポートや面談により学習意欲を判断
これから進学する人はもちろんですが、すでに在籍している人も対象になれば支援を受けることができます。
給付型奨学金制度
大学などの高等教育などに進学した場合の、授業料ではなく「学生生活費」に関してサポートをする目的の制度です。「奨学金」という名目ですが、実際は「給付型」なので返済する必要はありません。
住民税非課税世帯は下表の通りですが、所得基準に相当する年収目安(第Ⅰ区分~第Ⅲ区分)の第Ⅱ区分の学生であればその2/3、第Ⅲ区分の学生であれば1/3の減免となります。
〇給付型奨学金の給付額(年額)(住民税非課税世帯)(出典:文部科学省)
授業料と入学金の減免制度
住民税非課税世帯は下表の通りですが、所得基準に相当する年収目安(第Ⅰ区分~第Ⅲ区分)の第Ⅱ区分の学生であればその2/3、第Ⅲ区分の学生であれば1/3の減免となります。
また、減免の対象となるのは「授業料」と「入学料」のみです。
〇授業料等減免の上限額(年額)(住民非課税世帯)(出典:文部科学省)
国公立の場合は、入学金と授業料のほぼ全額が免除されます。私立の場合は、入学金は平均額まで免除され、授業料は各学校種の私立学校の平均授業料を踏まえた額と国立大学の標準額との差額の2分の1を加算した額までが減免されます。
教育費がどうしても足りない場合の対処法
教育費の準備の話ではなく、実際に中学、高校と進んでいくにつれて、どうしても教育費が足りなくなってしまうこともあるかもしれません。
教育費の無償化制度の適用を受けたとしても教育費が不足する場合や、そもそも無償化制度の適用を受けることができず教育費が不足してしまう場合も考えられます。
そのような場合に備えて、どのような方法があるのか知識として知っておくだけでも余裕が出てくるかもしれませんね。
国の教育ローン
「国の教育ローン」は、民間金融機関の補完を旨とする政策金融機関である、日本政策金融公庫が扱う教育ローンです。
国の教育ローンの特徴
- 子供一人につき、350万円まで借入できる
- 利息は固定金利で年1.68%
- 借入期間は最長で15年
- 受験前でも申し込みができる
奨学金との違いは、国の教育ローンは、ローンを借りるのは子供ではなく親であること、また、返済は借りた翌月からスタートし、返済期間は15年以内と奨学金に比べ短いため、毎月の返済額が高くなりがちであるという点です。
貸与型奨学金
先ほど「給付型奨学金」について紹介しましたが、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、大学院で学ぶ学生を対象とした奨学金です。
そして奨学金は、国の教育ローンと違って返済義務を子供が負います。
子供自身が就職、結婚、出産、マイホームの購入などのイベントでお金が必要な時期に、奨学金の返済をしなければいけないということを、親だけでなく子供自身でも理解しておくことが必要になります。
まとめ
教育費は子供の進む道によっても大きく変わるため、ある意味準備がしづらい費用でもあります。
しかし、全く準備をしていないと、進学するにつれてお金が足りなり、希望する進路に進ませてあげられないといったことにもなってしまいます。
教育費に限った話ではありませんが、今の安定した生活と将来の安定した生活のために「家計管理」が存在します。
家計管理をやること、お金に関する知識を持つこと、あらゆることに備えること、この3つのことが出来るようになることが理想だと思っていますし、私自身もそうなれるように日々頑張っていきたいと思います!
私の実践する家計管理をまとめています(⇒これを見れば家計管理の手順が理解できる!「本気の家計管理」の全体像!)ので、チェックしてみてください。
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